事実と概念

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【再現】慶應法科大学院 2017 刑訴

自己評価:D

.問題1

(1)(1)について

601項の要件を満たした場合には勾留が継続される。

(2)(2)について

勾留をするためには、逮捕前置主義(2071項)が満たされている必要がある。そして、逮捕の効力は人単位ではなく、事件単位で及ぶため、B事件について逮捕前置主義が満たされている必要がある。事件の同一性については、「公訴事実の同一性」(3121項)の有無によって判断されるところ、A方への住居侵入とB方への住居侵入は単一性も認められず、非両立の関係にもないため、「公訴事実の同一性」がなく、事件の同一性が認められない。よってB事件にA事件の逮捕の効力は及ばず、B事件について逮捕前置主義は満たされていないため、B事件について勾留することはできない。

(3)(3)について

かかる検察官面前調書は伝聞証拠にあたり、証拠能力が認められないのではないか。まず、伝聞証拠とは公判廷外における供述を内容とする供述証拠であって、要証事実との関係でその内容の真実性が問題となる証拠をいう。そして、本件調書は公判廷外におけるVの供述を内容とし、Xの暴行についての直接証拠であるからその内容の真実性が問題となる。よって、本件調書は伝聞証拠にあたり、証拠能力が認められない(3201項)また、Xと弁護士が否認していることから同意による証拠能力の付与(327条)も想定できない。よって、32112号の要件を満たした場合にXが犯人であることを証明するための証拠として用いることができる。

2問題2

(2)①について

支店長はブルーレイディスクの所持者であり、任意に提出しているため、領置(221条)として適法である。

(3)②について

アかかる撮影は、無令状検証として令状主義(2181項)に反し違法ではないか、かかる撮影が強制処分にあたるか否かが問題となる。

(ア)強制処分にあたるか否かは、法が強制処分につき定める厳格な手続・要件によって保護する必要がある程度に重要な権利利益の侵害があるか否かによって判断する。

(イ)本件では、公道での撮影であることから、Xのプライバシーの期待が減少しており、重要な権利利益を侵害しているとはいえない。よって強制処分にはあたらない。

イしかし、任意処分であっても適正手続(憲法31条)の要請から限界がある。かかる行為は任意処分として適法か。

(ア)処分の必要性や緊急性を考慮したうえで、具体的状況のもとで相当といえる場合には任意処分として適法であると解する。

(イ)本件では、Xはブルーレイの画像で捜査線上に上がってきた人物であり、ブルーレイ画像の精巧さなどを考えると、その犯人性は強度であり、照合の必要性が高い。そして、強盗殺人事件という極めて凶悪な犯罪であり社会不安を生ぜしめるおそれがあるため一刻も早く犯人を特定しなければならないという緊急性も認められる。たしかに承諾を得ていないためプライバシー侵害が弱いとは言えないが、10分という短時間に限定されていることを考えると、具体的状況のもとで相当であるといえる。以上よりかかる行為は適法である。